ロイヤルガーデンリゾートで山羊と戯れた(10/14)

百紫苑(hakushon)

2006年10月17日 21:02

 ロイヤルガーデンリゾートでの食事中にふと外を見下ろしたら、白や茶色の山羊が10数頭、杭に紐でつながれているのを発見。レストランスタッフに「あの山羊、食べるんですか」と訊いたら笑って首を振る。「乳を搾るんですか」と重ねて訊いたら「お客様にふれあっていただくため山羊を飼っています」という。

 ふむ、小学校で飼われていた山羊は年に1回、ヒージャー汁に姿を変えて給食に登場していた。それに比べれば、何て幸せな山羊達だ。思えば、小学生の時以来、山羊とふれあっていない。幸せをお裾分けしてもらおうと食後に早速、山羊達の元へと向かった。

 芝生の上は糞だらけで、それらを踏まないように注意した。しかし、地面に落ちて間もない黒々とした糞にばかり目を奪われたため、干からびて目立たなくなった糞を踏みまくっているのにしばらく気づかなかった。靴の裏を見たが、糞はへばりついていなかったので、とにかく水分を多く含んでいるであろう黒々とした糞にだけ気をつけて歩を進めた。糞を踏まずして山羊に近づくのは不可能だ。この時ほどタケコプターがほしいと思ったことはない。地面から浮いた状態で、ふらふらと近づいたら山羊達は驚くだろうけど。

 まず白と茶色の山羊に近づき、彼の行動範囲外から草をむしって口へ持っていくと、私の指をペロッと舐めた後でムシャムシャと食べた。「おいしいか」と訊きながら頭を撫でてやると、私の袖をパクリとくわえる。慌てて立ち上がると、今度はシャツの裾を狙ってくる。少し離れて草をむしりまた口へ持っていったが、今度はそれに目をくれず、私の耳に口を近づけてくる。とっさにそれを避けたが、息が耳にかかって鳥肌が立ってしまった。

 次に近くで紐をいっぱいに伸ばし、「こっち来て」オーラを全身から放出させている全体が薄茶色の山羊に草をやった。彼は一番人慣れしているようで、草をある程度食べた後は頭や背中を撫でても、おとなしくされるがままになっている。シャツや耳を噛もうとはしない。一番時間をかけて草をやり、撫でてやった。


 さて、残るは白山羊だ。私はまず最初彼に草をやろうとしたのだが、図体がでかい上に、その目には敵意がかすかに感じられたので、避けて別の山羊に向かったのだ。彼だけではない、白山羊はどいつもこいつも太々しく見える。少しだけ勇気を振り絞り、むしった草を片手に半身で彼に近づいた。…無視された。私のことなど眼中にないといった態度で、地面から草を引き抜かんばかりの勢いでムシャムシャ食べている。彼の頬辺りに草をグリグリ押しつけて、無理やり私の方を振り向かせた。「なんだ、そこにいたのか」とでも言わんばかりの態度にカチンときた。何度か草をやってから頭を撫でていると、首をグイと下げて角を私の手の甲に押しつけてくる。餌の催促かと思い、草をむしって口に近づけたが、それには一瞥もくれずにまた角を私の手に押しつける。ニュース映像で見たことのある瀬底島のピージャーオーラサイの様子がチラッと脳裡に浮かび、ヒヤッとした。

 近くで「わーい、山羊にさわったの生まれて初めてー」とはしゃいでいる妻に気づかれないよう、そっと立ち上がり平静を装ってその場を去った。奴のジャンピングヘッドバットの射程距離内に入らぬよう充分に気をつけながら。

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