私が牛乳を飲む訳は…
先週土曜日、本当に久し振りに牛乳を飲んだ。一気に500mlほどを飲んだら、数時間後にはお腹がゴロゴロ鳴りだした。翌朝、それにもめげず紙パックの残り半分ほどを数回に分けて飲んだ。間もなくして何度もトイレに駆け込まざるを得ない状態に陥り、出し尽くした後はグッタリして寝たきりになってしまった。牛乳を飲んでお腹がゴロゴロ鳴るようになったのは、高校卒業後に上京して牛乳を飲む習慣がなくなってからだということは確かだが、それがいつ頃なのかは、はっきりと思い出せない。
突然牛乳を飲もうと思い立ったのは、NHK「きょうの健康」を父と一緒にぼんやりと見ていたら、尿路結石の予防にはカルシウムの摂取が有効だという話をしていたからだ。私は19年前の夏に尿管結石で七転八倒した挙句、バイト先から救急車で病院に搬送されたことがある。この時は右側の尿管に結石が引っかかっていたのだが、その2週間後に今度は左側の尿管で結石が暴れた。この時もバイト先でのたうち回り、同僚の車に乗せられて先に搬送された病院へ向かったのだが、あまりにも痛がっている私におののいた同僚は途中で目についた別の外科病院へ駆け込んでしまった。その同僚が後に「あのまま死んじゃうんじゃないかと思った」と回想するくらい、私は助手席で暴れていたらしい。私は全く憶えていないけれど「殺してくれー」と絶叫した後で同僚に向かい「大きな声を出してすまん。安全運転で行こうな」と脂汗をダラダラ流しながら変な気遣いをしていたようだ。
そんな大騒動も忘れかけていた2年前の夏、私は交通事故を起こしてしまった。この時も救急車のお世話になり、病院に搬送された。傷の手当が済んだ後、詳細な検査をしたのだが、超音波を腰の辺りに当てられている最中に検査技師が小さく「うーん」と唸ったので、両膝や股関節がギシギシ痛むのを我慢して「内臓破裂でもしてますか」と軽口を叩いたら「腎臓に石がありますねぇ。ほら、ここ」とモニターを指差した。首をねじってモニターを見ると、確かに丸っこい物が2つ3つ映っている。「これは右側ですけど、大きな物は直径1cmくらいありますねぇ」。ヌルヌルヒヤッとした感触が左側に移動する。「こっちは5、6mmくらいですかね」。
ギシギシする両膝や股関節、血ィゴーゴーの両手や左側頭部も確かに物凄く痛かった。でも、これらは尿路結石の痛みの比ではない。事故を起こした直後でも、私は追突してしまったトラック運転手に謝り、「警察と救急車には僕が連絡しましょうね」とおっしゃったことに対してお礼を述べ、会社に事故を起こしたと報告し、現場に駆けつけた警察官や救急隊員、同僚らに「お騒がせしてすいません」と何度も頭を下げる余裕があった。しかし、ひとたび腎臓結石が尿管に出てきて暴れ出したら、まさに「殺してくれー」だ。尿路結石でのたうち回っている最中に、痛み止めの注射を持ったチェ・ホンマンが目の前に現れて「俺を倒したら、この注射を打ってやる」と挑発したら、迷うことなく身長2m18cmの大男に立ち向かうだろう。まずはローキックと見せかけて、股ぐら蹴り上げてやる!とにかく尿路結石だけはごめんだ。
この19年間、水分の大量摂取とこまめな排尿を心がけてきた。2年前からはそれに一段と拍車がかかった。食品の中で一番カルシウムの吸収率がいいといわれている牛乳が体に合わないなら、地道に煮干を毎日かじろうかな。煮干ならチャンイのおやつにもなるし…と考え始めていた昨日、琉球新報夕刊に「48歳女性から1kgの結石摘出」という記事が掲載された。
以下引用。
【エルサレム25日共同】ロイター通信によると、イスラエル北部の病院に腹痛を訴えて入院した48歳の女性から25日までに、直径13cm、重さ約1kgのぼうこう結石が見つかり、無事に丸ごと摘出された。ぼうこう結石としては最大とみられるという。
引用以上。
膀胱内に「直径13cm、重さ約1kg」の結石!?私はこの記事を読んだ直後、夕刊を放り投げて近所のかねひでへと急いだ。一旦帰宅した後に外出することが稀な私を不思議そうに見送った妻は、1人で買物に出るとチョコレートやはちゃぐみ、ルートビアなどを買い込んでくるのが常の私がブルーシールホワイト(946ml)1本だけを携えて帰ってきたのを驚きの顔で迎えた。私は時間をかけてコップ1杯の牛乳を飲み干した。しばらくして遠い雷鳴のようにお腹が鳴ったが、トイレに駆け込む事態には陥らなかった。今朝はコップ半分の牛乳をやはりゆっくり、ゆっくりと飲んだ。そういえば「牛乳はよく噛んで飲め」と学校の先生が言ってたな。今のところ、お腹はゴロゴロ鳴っていない。
我が体内のシュウ酸よ、カルシウムにくっついて便と共に出ていってくれ!
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