初夢

百紫苑(hakushon)

2007年01月09日 20:01

 白衣姿のロンドンブーツ淳が独りでコントをしている。私をそれを舞台の袖から見つつ、お客さんの入り具合のチェックをしている。収容人数150人くらいの小さな劇場はほぼ満席で、コントは大いに受けている。

 コントが終わり、ロンブー淳が客席に手を振りながら私の方へ歩いてくる。私はすかさず「お疲れさまです」と声をかけ、脱ぎたての白衣を受け取った。「明日は09:00に事務所だっけ?」と訊かれ「はい」と答える。「じゃ、今日はもう帰っていいよ」とロンブー淳に言わたので「それでは先に失礼します」と一礼してからエレベーターに乗り込んだ。

 1階に着いたエレベーターのドアが開くと、そこは六本木だった。地下鉄の入口に向かう途中の道沿いにおもちゃの屋台がずらっと並んでいる。高校時代の同級生がおもちゃを物色しているのを見つけたので、声をかけるため近づくと、彼の隣に立っているのも同級生だ。ふと辺りを見回すと、ずらりと並んだ屋台に向かって立っているのは全て同級生だった。

 翌朝、私が事務所で白衣にアイロンをかけているとロンブー淳が時間通りにやって来た。すぐに2人とも部長の席へ行き、立ったままで話を聞く。「亮とよりを戻せよ。ファンもそれを望んでいるし、亮だってきっとそうだろう。そうすれば、仕事ももっと増えるし、いいこと尽くめだぞ」というのが部長の話の内容だ。これに対してロンブー淳はニヤニヤするだけで一切何も喋らない。

 私が部長の机に視線を落とすと「新年会のお知らせ」というタイトルの文書が目に入った。下に回覧印を捺す升目があり、沢山のはんこが既に捺されている。タイトルのすぐ下に「※あの2人は呼びませんので、よろしく」と乱雑な字で書かれている。部長が私の視線に気づき、右肘をぎこちなくその文書に乗せたが、「淳は落ち目」と左隅に書かれた文字は隠しきれない。

 部長は私と目を合わせずに「今日の予定は?」と訊いた。手帳を開くことなく「劇場回りです」と答えると「テレビ局には行かないのか?」と大袈裟に首を振りウンザリした顔を作った。ここで初めてロンブー淳が口を開いた。「テレビもラジオも出入り禁止なのはご存じでしょ?」。相変わらずニヤニヤしている。「それにしても、顔くらい出しておかないと…」という部長の言葉にかぶせて「じゃ、そろそろ行くか」とロンブー淳が私の右肩をポンと叩いた。

 事務所を出る時に白衣を羽織ったロンブー淳に「その恰好で劇場回りするんですか?」と訊いたら「もっと専門用語を取り入れて、リアルな監察医コントにしたいな」と前歯剥き出しで笑ったところで目が覚めた。

 最近はこのような変てこりんな夢を見ると、途中で「あ、こりゃ夢だな」と気づくけど、今年の初夢は目が覚めるまで全く気づかなかった。今でも瞼の裏にロンブー淳の白い前歯が焼き付いている。

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